ついていけない

「変な姉ちゃんがある暗闇でキスした」。日本の探査機「はやぶ…

「変な姉ちゃんがある暗闇でキスした」。日本の探査機「はやぶさ」が、二億九千万キロ彼方(かなた)の宇宙で小惑星イトカワ」の岩石採取に成功したとのニュースを見ていて、突然、四十年前の受験時代の記憶がよみがえった▼これ、元素の周期律表で、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンという六つの「不活性ガス」の覚え方だ。当時は「水兵リーベ僕の船…」の有名な暗記法を知らず、苦手の化学をなんとかしようと、友人と必死でつくった自前の語呂合わせ▼「はやぶさ」が使ったイオンエンジンが、キセノン元素を推進剤に使っていると知って、その変な暗記法を思い出したわけだが、宇宙の暗闇で「はやぶさ」姉ちゃんがジャガイモのような「イトカワ」くんにキスしたには違いないと、自分ひとりでおかしがっている▼最初の接近では何に驚いたか、いったん百キロも上空に飛びすさった。二度目はうまく接近、採取装置を表面に接触させ、金属球を撃ち込んで、舞い上がった砂を採取できた。なんだかワクワクドキドキの初恋ランデブーを見ているようだったイオンエンジンは、電極間の微少イオンの流れを推進力に使うが、化学ロケットの十倍以上の比推力がある。ただし、真空中でしか作動しない。百二十七億円の低予算で月以外の天体から、世界初の岩石試料採取の偉業だ▼あとは無事持ち帰ることができるかどうか。これから約一年半かけて、二〇〇七年六月の予定で、帰路に就く。姿勢制御装置の故障もあり、燃料も心細いというから心配だ。

私は「変態(He)姉ちゃん(Ne)歩いて(Ar)くる(Kr)よ。セックス(Xe)乱交(Rn)」って覚えましたが、文系なので使う機会が全くありません。「イクイク(1919年)ゴシゴシ五・四運動」は役に立ちました。悲しいかな、エロいことと結びつけて覚えると、なかなか忘れにくいですよ。